

【2022年】
(11月1日)
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体が国政選挙で自民党国会議員に事実上の「政策協定」を求めていた問題
で、立憲民主党の岡田克也幹事長は1日、党所属議員にこうした事例は確認できなかったと発表した。
立憲は、昨年1月以降に教団側から推薦確認書などを提示され、署名していたことがあったかどうかについて、党所属の
国会議員と次期衆院選の公認予定者に10月下旬以降、報告を求めていた。文書を交わしたとの回答はなかったという。
岡田氏は1日の記者会見で「我々の常識では、こういう協定を交わせば選挙応援が必ずついてくる」と指摘。そのうえで
自民党に対し、「同じような調査をすべきだ」と求めた。
(11月2日)
立憲民主党は2日、次の感染症危機に備える政府提出の感染症法改正案に賛成する方針を決めた。日本維新の会と求めた
修正項目の一部が、政府案に反映される見込みとなったためだ。
ただ、政府案では民間病院の受け入れ態勢が不十分になる可能性があるとして、引き続き対応を求める。
改正案は、新型コロナウイルスなどの感染拡大に備え、地域の中核を担う病院に病床確保、発熱外来設置などを義務付ける
ことが柱だ。立憲と維新の「共闘」項目の一つですでに提出した対案のうち、ワクチン副反応の情報の積極的な公表など
3項目について、政府案の付則に検討項目として盛り込むことで与党側と合意。立憲として賛成する方針を決めた。
(11月3日)
10月30日午前10時過ぎ、福岡市民の憩いの場である「大濠公園」の外周道路を選挙カーが通り過ぎた。乗っていた
のは市長選(6日告示、20日投開票)に出馬表明した無所属新人で元市議、田中慎介氏(44)=立憲民主党など推薦=
だ。「これからの街づくりについて、みなさんと一緒に考えていきたい」 これまで野党支持層を中心に浸透してきた田中
氏だが、3期12年を務めた現職の高島宗一郎氏(48)と戦うにはそれ以外の有権者へのアピールが欠かせない。
そのため、この日は公園でジョギングなどを楽しむ人たちやボランティア、家族連れら幅広い層をターゲットにした。
組織固めにも余念がない。10月29日には福岡県庁に近い博多区千代に選挙事務所を立ち上げ、立民の城井崇県連代表や
連合福岡の藤田桂三会長、市民団体や共産党などとつくる「福岡市から政治をかえる会」の関係者ら約40人が集まった。
壁には「必勝」などと書かれた岡田克也幹事長ら立民幹部の為書(ためがき)がずらりと貼られていた。
田中氏は「将来に対する不安をくみ上げ、今こそ変えなければならない。福岡の新しい時代を一緒に作っていく。そういう
声を集めてうねりに変えていかなければならない」と述べた。
同時に、「12年間やってきた高島氏の存在は大きいし、知名度もある。だが、私には覚悟と決意がある。街のリーダー役
を担わせてほしい」と訴えた。
今回、田中氏は立民や国民民主党、社民党、連合福岡などから支援を受ける。独自候補の擁立を模索していた「かえる会」
とも政策協定を結び、田中氏への候補者一本化につなげた。「かえる会」側にも、野党系候補者が乱立する状態では現職の
高島氏には立ち向かえないとの判断が働いたようだ。次の国政選挙での「野党共闘」に結び付けたいとの思惑も透ける。
■市政批判の受け皿
いわゆる「野党共闘」の形で事実上の与野党一騎打ちにはなったが、田中氏は「野党系候補」というレッテルを嫌う。
田中氏は「政治信条を超えて福岡市を変えていかなければならない」と繰り返し強調し、自民、公明両党にも接触し、野党
色を薄めることにも余念がない。保守層への接触は表に見えない〝反高島票〟の掘り起こしにもつながるからだ。
高島氏は改革のスローガンを掲げ、市政の「抵抗勢力」を突破する政治スタイルを貫いてきた。規制緩和を進め、経済を
活性化させて市民に「富」を還元する政策は成果をあげる一方、市議会とも衝突した。
こうした剛腕ぶりは高島氏へのわだかまりを生み、支援に消極的な保守系市議がいるのも事実だ。ある自民関係者は、高島
氏への牽制の意味も込めて「田中氏には頑張ってほしい」と期待する。
田中氏周辺からも「支持を広げるためにも、あまり左に振れすぎるのはよくない」との声が聞こえる。
■無党派層に勝機も
形の上では反高島勢力を結集した田中陣営だが、前回市長選で自己最高の得票数となる約28万5千票を得た高島氏の背中
は遠い。ただ、勝機はまだある。単純比較はできないが、令和3年10月の衆院選で与野党が獲得した福岡市内の比例代表
の得票数がヒントになりそうだ。
田中氏の支援に回った立民、国民、社民の合計得票は約17万6千票で、これに共産の約3万8千票を加えると計約21万
4千票となる。このままでは自公の計約30万9千票に約9万5千票の開きがあるが、無党派層が多い日本維新の会や
れいわ新選組などの計約12万5千票の取り込みに成功すれば、逆転の芽も出てくる。「街の見栄えばかりを福岡の外の
人たちにアピールしてきた高島市政を大きく変えていく。今の福岡は小さな東京のようだ」
田中氏は10月19日、福岡市内で開かれた連合福岡の会合に出席し、市長選の争点をこう設定した。ハコモノに偏った
市政から人への投資を訴える田中氏の挑戦が市民の心に響き、〝反高島票〟を結集できるかどうかは未知数だ。
市長選にはこのほか、新人で会社員の熊丸英治氏(53)も立候補を表明している。
(11月4日)
■立憲民主党・泉健太代表(発言録)
(北朝鮮による弾道ミサイル発射に伴うJアラートの混乱について)自然災害のときの様々な警報も、なかなか百発百中と
いうことにはならない。ハズれても必要だと思うのであれば、出さねばならないのが警報だが、やはり国民が首をかしげる
ような運用ではいけない。信頼を低下させ、実際の運用力も低下する。国民に、ただ緊張感を走らせるだけだ。Jアラート
がどんな役割で、どんなときに出されるものなのか、説明していかなければならない。
安全保障の情報は官邸に集中するが、防衛省から内閣府、そこから全国にと、手間がかかっていないか。もっと、速報が
できないのか、考えていかなければならない。(定例会見で)
(11月5日)
立憲民主党の枝野幸男前代表が、消費税率引き下げを昨年の衆院選で公約したのは「間違いだった」と発言し、党内に波紋
を広げている。現実的な判断との評価がある一方、自身の代表時代に打ち出した目玉公約を否定するのは無責任との批判も
強く、将来の再起戦略に影響する可能性がある。
「衆院選で後悔しているのは、時限的とはいえ消費税減税を言ったことだ。政治的に間違いだったと強く反省している」。
枝野氏は先月28日、インターネットに投稿した動画でこう明言。その上で「二度と減税は言わない」と強調した。
枝野氏は昨年6月の衆院本会議で「税率5%への時限的な消費税減税を目指す」と表明。
同10月の衆院選で公約に盛り込み、共産党などとの選挙協力を進めた。立民の現執行部もこれを踏襲。今年6月に消費税
減税法案を他の野党と共同提出し、直後の参院選でアピールした。
枝野氏の発言は、党内論議を踏まえたものではない。このため、泉健太代表は4日の記者会見で「私たちが訴えを変えた
ことはない」と釈明。長妻昭政調会長も「あくまで個人的な見解だ」と強調した。
党内には「減税批判が首相退陣につながった英国の例を考えれば理解できる」(若手)と擁護する声もある。
ただ、ベテラン議員らは「あり得ない」「狙いが分からない」と反発。立民の「創業者」である枝野氏は、将来の代表返り
咲きを狙っているとされるが、リーダーとしての手腕に疑問符が付けば、その戦略にも黄信号がともりかねない。
(11月6日)
立憲民主党の岡田克也幹事長は6日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を受けた霊感商法や高額献金など今後の
被害防止と救済に向けた法案を今国会で成立させるため、与野党党首会談を週内に開くことを与党側に求めた。
与野党幹部が出演したNHKの日曜討論で発言した。これに対し、自民党の若宮健嗣幹事長代理は「私の立場でコメント
するのは困難だ」と即答を避けた。
岡田氏は、悪質な寄付要求行為の禁止などを盛り込んだ新法を含めた救済法案を今国会で成立させるべきだと主張。岸田
文雄首相が11日から東南アジア3カ国を訪問する予定であることから、出発前に与野党党首による会談の開催を求めた。
(11月7日)
立憲民主党の蓮舫参院議員が7日、自身のツイッターを更新し、スーパー「ライフ」の創業者で、10月25日に亡く
なっていたことが公表された、ライフコーポレーション・清水信次名誉会長を悼んだ。
清水氏の死去を伝えるニュースを引用。「『蓮ちゃん』 私が小さい時から、政治家になって以降もいつもいつも温かく
励まし、見守ってくださった父の大切な友人でした焼け野原となった戦後の日本、そこで商売を始め、スーパーマーケット
を創るご苦労と楽しさを何度も語ってくれました。」と幼いころからの親交があったことを伝えた。続けて「清水信次名誉
会長のご冥福を心からお祈りいたします。」と思いを込めてコメントした。
清水氏は10月25日、老衰のため死去した。96歳。7日にライフコーポレーションが公式サイトで発表した。
(11月8日)
立憲民主党の岡田克也、日本維新の会の藤田文武両幹事長は8日午前、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害救済・
防止のための法整備を巡り、国会内で会談した。
自民、公明両党との4党協議が停滞している現状を踏まえ、焦点となっている悪質な寄付要求を規制する新法の制定に
向け、14日を期限に与党案の提示を求める方針を確認した。会談では、立維両党の独自案に対する与党の54項目の質問に
回答することを確認。
会談に同席した立民の安住淳国対委員長は記者団に「条文として出すのは自民党と公明党の番だ」と強調した。
(11月9日)
参院憲法審査会は9日、今国会初の自由討議を行った。
参院選の「1票の格差」是正のために導入された「合区」を巡り、自民党は憲法改正による解消を主張。立憲民主党は難色
を示した。
自民党の山本順三氏は「合区が有権者の選挙離れを引き起こし、投票率を低下させたとすれば、民主主義の根幹に関わる
問題だ」と指摘。その上で「憲法を改正して合区を解消してはどうか」と提起した。 これに対し、立民の小西洋之氏は
「憲法改正を行わずに合区制度を廃止する方策について、法学者が『違憲判決は想定しがたい』と陳述した」などと反論
した。
(11月10日)
立憲民主党の谷田川元氏は10日の衆院憲法審査会で、衆院選を2度勝利した〝横綱級の首相〟を「国民葬」の対象とする
ことを提案した。戦後の対象者は吉田茂、池田勇人、佐藤栄作、中曽根康弘、小泉純一郎、安倍晋三の6人になると説明
した。
谷田川氏は、「国葬」の対象は憲法が「日本国民統合の象徴」とする天皇のみにすべきだと主張した。その上で、「大相撲
では、大関が2場所連続で優勝すると横綱になる。憲政史上の番付を考えた場合、首相になれば大関とみなし、2度続けて
総選挙を勝利すればまさに横綱だ」と述べた。
(11月11日)
野党は11日、死刑を巡る失言で葉梨康弘法相を更迭した岸田文雄首相の対応の遅れを一斉に批判した。
立憲民主党の泉健太代表は「決断が遅い。首相としての決断力や考え方に、著しく欠落があるのではないか」と強調。
共産党の小池晃書記局長は「この日まで引っ張った責任は重い。首相の資質がない」と断じた。
日本維新の会の馬場伸幸代表は「葉梨氏の問題発言は限度を超えており、政治や法務行政に対する国民の不信を招いた。
首相の判断は遅い」と話した。
国民民主党の玉木雄一郎代表は「首相は葉梨氏をかばった上で、結局辞めさせた。常に後手後手だ。内閣への信頼は著しく
低下している」とした。
(11月12日)
葉梨康弘法相の辞任を受け、2022年度第2次補正予算案など今後の国会審議に影響が及ぶのは必至だ。
野党は閣僚が相次ぎ辞任する事態を問題視し、岸田文雄首相の任命責任を衆参両院予算委員会で厳しく追及する方針。
政府・与党が目指す補正予算案の月内成立は先行きが不透明だ。
立憲民主党の泉健太代表は11日、記者団に葉梨氏辞任に関し、「首相の認識の甘さも問題だ。もう岸田政権は国民の期待
に応えるに値しない」と批判。同党の安住淳国対委員長も「辞任に至った経緯や任命責任について予算委員会で首相に
厳しくただしていきたい」と述べた。
政府・与党は補正予算案について、21日にも衆院予算委員会で審議入りし、月内に成立させる日程を描いている。
しかし、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が批判された山際大志郎前経済再生担当相に続いて葉梨氏が辞任。
立民幹部は「最短のスケジュールでも月内成立は難しいだろう」との見方を示し、日本維新の会幹部は「野党の意見を
聞かないと国会は動かない」と強調した。自民、立民両党の国対委員長は11日に会談。自民党の高木毅国対委員長は
与野党国対委員長会談の14日開催を呼び掛けた。
この後、高木氏は12月10日の国会会期末を見据え、「補正予算を含めて、全てのものを来月10日までに成立させたい。
野党の協力を仰ぎたい」と記者団に語った。
親が子を戒めることを認めた「懲戒権」の削除などを柱とする法務省所管の民法改正案は、葉梨氏の失言に野党が反発した
ため、当初予定していた10日の衆院本会議採決は見送られた。与党は15日の採決を目指しているが、野党側は大臣所信が
法案採決の前提との立場。国会日程は窮屈で「15日の採決は無理」(立民幹部)との声が出ている。
(11月13日)
立憲民主党の蓮舫参院議員が13日、ツイッターに投稿し、同党の枝野幸男前代表が昨年10月の衆院選で消費税率の
引き下げを訴えたことについて「間違いだった」と発言したことについてコメントした。
ツイートでは、枝野氏が12日のさいたま市内の講演で、昨年の衆院選について、消費税率の引き下げを「政治的に間違い
だったと反省している」と語ったという記事を引用。蓮舫氏は「増税はしない。同時に。所得税に金融所得課税等の税制を
徹底的に見直すことで格差を縮小することが優先事項だと、私は考えます。」と増税せずに“仕分け”で運用すべきという
持論を展開した。
枝野氏の「間違いだった」発言については「間違いかどうかはわかりません」と自身のスタンスは保留。「国の予算、その
財源が決定的に不足している事実から目を背けてはいけないと思います。」とだけ指摘した。
(11月14日)
政府・与党は14日、12月10日までの今国会の会期を、1週間程度延長する方向で調整に入った。複数の自民党関係者
が明らかにした。岸田文雄内閣の支持率が続落する中、首相は令和4年度第2次補正予算案と世界平和統一家庭連合(旧
統一教会)の被害者救済に向けた新法の確実な成立を期す。野党側は葉梨康弘前法相の更迭などをめぐり対決姿勢を強めて
おり、状況次第では再延長の可能性もある。
「ご迷惑をかけたが国会運営に協力してほしい」 自民党の高木毅国対委員長は14日の与野党国対委員長会談で、立憲
民主党の安住淳国対委員長らに対し、死刑をめぐる失言で、11日に葉梨氏が更迭されたことに伴う混乱をわびた。
会談では、法律上の父親を決める「嫡出推定」などを見直す民法改正案について、葉梨氏が更迭された影響により、15日
の衆院本会議での採決を見送ることで合意。17日以降にずれ込むことになった。また、野党は東南アジア歴訪から19日
に帰国する首相に対し、衆院本会議で葉梨氏を更迭した経緯を説明した上で質疑に応じるよう求めた。高木氏は回答を保留
したが、安住氏は会談後、記者団に「応じなければ、来週以降の(国会の)日程は白紙だ」と語った。
政府・与党は2次補正を21日に国会に提出する予定だが、野党側は「大規模な補正になる。十分な審議時間が必要だ」
(共産党の小池晃書記局長)として、衆参両院の予算委員会を通例より多い3日ずつ行うよう求めている。
ただ要求に応じれば、2次補正の月内成立は困難になる。 一方、旧統一教会問題をめぐる新法は2次補正の成立後に審議
入りする予定だが、会期末まで残された日数は少ない。条文の策定作業は遅れており、現時点で審議日程はかなり流動的
だ。自民の国対関係者は「最低1週間程度は会期延長しなければ、新法成立までたどりつけない」と打ち明ける。
野党側は与野党国対委員長会談で、高木氏に会期に関する考えもただしたが、野党側によると高木氏は「まったく答え
られない」と回答した。 年末には5年度予算案の編成作業など重要な政治日程がめじろ押しだ。
安住氏は会談後、高木氏に「当事者意識を持ってほしい。心配しなくていいこと(会期末の日程)を野党が心配している
奇妙な状況だ」と皮肉った。
(11月15日)
立憲民主党は15日、来年2月5日投開票の北九州市長選で新人で元国土交通省官僚の津森洋介氏(47)の推薦を決めた。
(11月16日)
立憲民主党と日本維新の会、国民民主党の3党は16日、国会議員に月100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文書
通信交通滞在費)の使途公開などを義務づける法案を共同提出する方針を決めた。17日にも衆院に提出する。
旧文通費は、先の通常国会で「日割り支給」に変更されたが、使途公開などは先送りされた。今国会で立憲と維新は、使途
公開の法制化など8項目の「共闘」で合意しており、立憲の岡田克也幹事長と維新の藤田文武幹事長が16日に会談し共同
提出を決めた。藤田氏はこれに先立ち国民民主の榛葉賀津也幹事長とも会談し、法案提出の必要性で一致した。
藤田氏は16日、記者団に「(使途公開の実現は)自民党の覚悟次第というステージに来ている」と述べた。
(11月17日)
立憲民主党は17日の党会合で、21日に審議入りする2022年度第2次補正予算案に反対する方針を確認した。
長妻昭政調会長は会合後、記者団に、日本維新の会と組み替え動議の共同提案も視野に調整していることを明らかにした。
長妻氏は補正予算案について「物価高で国民生活が非常に大変な状況だ。(家計の)懐に届くのがほんの一部しかない。
子ども・子育ての分野が圧倒的に不足している」などと批判した。
(11月18日)
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を巡り、政府は18日、被害救済新法の概要を与野党6党の幹事長、書記局長に
提示した。寄付の勧誘をする際に借金や居住中の建物等を処分して寄付金を調達するよう要求してはならないなどの8項目
を明記した。
出席した立憲民主党の岡田克也幹事長は建物等の処分による寄付金について、「建物以外の田んぼなどは対象外。上限は
ないに等しい」とし「非常に不十分」と批判した。子や配偶者に生じた被害救済についても「限られた範囲でしか返還
されない」と指摘した。
野党側が新法の柱とするマインドコントロールによる高額献金の禁止などは盛り込まれず、日本維新の会の藤田文武幹事長
は「少し物足りなさを感じている。ここからの詰めの作業が非常に重要だ」とした。
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は「我々の考え方はおおむね、入っており評価する」とし、野党側の対応も割れている。
その後に行われた自民、公明、立民、維新の4党協議会でも与野党間の意見の隔たりは埋まらず、平行線となった。
政府はこの日、霊感商法などの悪質契約の取り消し権行使の期間を契約締結5年から10年に延長するなどを盛り込んだ
「消費者契約法」などの改正案を閣議決定した。
(11月19日)
衆院小選挙区を「10増10減」する改正公職選挙法が成立し、与野党は候補者調整を本格化させる。
ただ、選挙区が減る10県に現職がひしめく自民党内の公認争いは着地点が見えず、都市部で新規擁立を狙う公明党とは
摩擦が生じる可能性もある。野党側は、立憲民主党や日本維新の会が候補一本化を進められるかが課題だが、与野党の思惑
は入り乱れており、ともに調整は難航必至だ。
自民党の森山裕選対委員長は18日、党東京都連会長の萩生田光一政調会長と党本部で会談し、5増となる東京を巡り対応を
協議。茂木敏充幹事長は記者団に「調整はまさにこれから。党内の意見を丁寧に聞きながら進めたい」と語った。
自民党にとっては早期決着が至上命令だ。
「調整中だと岸田文雄首相の衆院解散権が事実上縛られる」(党幹部)とみられるからだ。茂木氏ら幹部は来週、今後の
スケジュールを確認。その後、「10増10減」の対象である15都県連代表者を12月初旬にも党本部に集め、地方組織内で
検討を急ぐよう指示する見通しだ。
自民党内で調整が困難視されるのは、「10減」で各1減となる対象県。特に、議席を独占する滋賀、岡山、山口、愛媛と、
世耕弘成参院幹事長がくら替えを狙う和歌山は「解答」が見えない。さらに山口と和歌山は来年4月にも補欠選挙が想定
され、作業は複雑さを増している。
党内では、選挙区と比例代表の候補が選挙のたびに入れ替わる「コスタリカ方式」や比例上位優遇の活用が早くも取り沙汰
される。
「10増」も悩みの種だ。小選挙区選出議員を増やしたい公明党は、自民党に対し、対象5都県のうち東京、埼玉、千葉、
愛知で各1選挙区を譲るよう既に要求。公明党内では埼玉新14区に石井啓一幹事長、東京新29区に高木陽介政調会長が
出馬するとの見方もある。石井氏は18日の記者会見で「積極的に擁立を目指す」と語った。
自民党からは「公明党が新たに立てるのは、どこか1選挙区で十分」(関係者)とけん制する声も聞こえ、落としどころは
見通せない。
野党の状況も混迷している。野党間で選挙協力を行うかすら定まっていないためだ。立民の泉健太代表は18日の会見で、
「10増」の5都県への対応について「独自候補の擁立を進める」と表明。維新の藤田文武幹事長も「全ての選挙区で擁立
する努力を加速する」と語った。
立民内からは、「共倒れ」への懸念から候補1本化を探るべきだとの声が上がる。一方、次期衆院選で野党第1党の座を
目指す維新幹部は「譲ることは絶対ない」と強調。維新は立民と国会で共闘しつつも選挙区調整は否定しており、競合する
可能性は強まっている。
(11月20日)
立憲民主党の泉健太代表は20日夜、寺田稔総務相が更迭されたことに関連し、「(閣僚)辞任は遅すぎであり、同時に
岸田文雄首相の決断力、指導力を疑わざるを得ない。内閣改造後間もなくして、早くも大臣辞任が3人に至ったことは首相
の人事管理力の無さと、任命責任が問われる」との談話を発表した。
泉氏は「公職選挙法や政治資金規正法を所管する総務相が自ら多くの疑惑を抱えていたのでは、公平公正な総務行政は遂行
できず、既に信頼も失墜していた」と指摘。
「首相は国会で国民に謝罪し、今後の内閣のあり方について誠実に説明すべきだ」とした。
(11月21日)
野党は21日、寺田稔氏の総務相更迭に関し、岸田文雄首相の判断の遅れを批判した。立憲民主党の安住淳国対委員長は
「首相の決断は遅きに失した。国政が停滞したと言わざるを得ず、任命責任を厳しく問う」と記者団に述べた。
「死刑はんこ」発言により葉梨康弘前法相を11日更迭したのと同時に寺田氏を代える必要があったと強調。「もっと早く
事態収拾に動くべきだった」と厳しく指摘した。
共産党の穀田恵二国対委員長は「首相の任命責任は極めて重大だ。謝罪と説明を求める」と記者団に語った。
(11月22日)
今国会会期末まで3週間を切る中、岸田文雄首相は2022年度第2次補正予算案と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題
を踏まえた被害救済・防止法案の成立に全力を挙げる方針だ。閣僚3人の「辞任ドミノ」に揺らぐ政権を立て直すには
「結果を積み重ねるしかない」(周辺)との判断からだ。ただ、後手に回る首相の判断は混乱を引き起こしており、苦しい
政権運営が続きそうだ。
「任命責任を重く受け止める」。約2時間遅れで始まった21日の衆院本会議で、首相は葉梨康弘前法相と寺田稔前総務相の
辞任についてこう釈明。その上で「補正審議、被害者救済新法などの重要課題に答えを一つ一つ出す」と強調した。
閣僚辞任に関する首相の国会説明は山際大志郎前経済再生担当相の時に続いて2回目。極めて異例の対応のため、自民党は
「二度と応じない」(国対関係者)としていたが、1カ月足らずで3閣僚が辞任する事態に野党が勢いづき、要求を受け
入れるしかなくなった。閣僚の進退を巡る首相の判断は遅れ続けた。寺田氏については葉梨氏と同時の更迭を求める声が
出たにもかかわらず、首相は「もう少しやらせたい」と断った。自民党内には「傷口を広げた」(幹部)といら立ちが
募る。
公明党の佐藤茂樹国対委員長は21日、「見極めが少し遅過ぎた。これ以上足を引っ張るネタを提供しないでほしい」と
記者団に語り、与党幹部としては異例の厳しいトーンで首相を批判した。実際、国会日程には狂いが生じた。
21日の本会議開会が遅れただけではない。総合経済対策の裏付けとなる補正予算案を巡り、与党は当初、24日に実質審議
に入り、月内に成立させる日程を描いていたが、総務相交代で数日単位でずれ、月内成立は絶望的になった。経済対策実行
の遅れを意味し、首相には痛手だ。
野党からは22日に予定されていた衆参両院本会議での首相の東南アジア歴訪報告に代わり、衆参予算委員会での集中審議
を求める声が出た。 補正予算案成立が12月にずれ込んだ場合、被害救済・防止法案の審議は極めて窮屈になる。
政府法案を「骨抜き」と問題視する立憲民主党の安住淳国対委員長は党会合で「自民党に譲歩を求めていく」と宣言。
首相は与野党協議を打ち切って政府法案を採決するか、同10日までの会期を延長して妥協点を探るか、難しい判断を
迫られそうだ。
閣僚3人の連続辞任を受け、首相の求心力は低下している。寺田氏の後任には麻生派の松本剛明元外相が決まったが、
自民党内では「麻生太郎副総裁の要求に応ぜざるを得なかった」(中堅)との見方が出ている。党関係者は「今は耐え、
すべきことを淡々とするしかない」と語った。
(11月23日)
辞職した寺田前総務大臣の後任である松本剛明総務大臣が一部報道で政治資金規正法違反の疑いが指摘されていることを
受け、立憲民主党の蓮舫参院議員は「政府の問題で国会が停滞するのは迷惑だ」と批判した。
立憲民主党 蓮舫参院議員 「新しくなった大臣にいきなりこういう疑惑が出るというのは残念ですね。国民生活はいま大変
厳しくなっているときに国会が政府の問題で停滞してるんですよ。非常に迷惑です」 BS-TBS「報道1930」に出演した
立憲民主党の蓮舫参院議員は、辞職した寺田前総務大臣の後任を務める松本総務大臣にも「政治とカネ」をめぐる問題が
浮上していることを受け、「非常に迷惑だ」と批判した。 また、共産党の小池書記局長も会見で、「政治資金の疑惑で
寺田前総務大臣を更迭しておきながら、新しい大臣がいきなり政治資金の疑惑を指摘されている」とした上で、「岸田総理
の任命責任は免れない」との認識を示しました。
(11月24日)
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を受けた被害者救済新法をめぐり、自民、公明両党は24日、野党4党の
幹事長・書記局長と会談し、政府案の修正案を提示した。与党側は今国会での成立に理解を求めたが、野党側は不十分だと
指摘。会期末が迫るなか、今後は衆院予算委員会に場を移し、与野党による議論は最終局面を迎える。
「40点。一番肝心な部分が抜け落ちている」。会談を終えた立憲民主党の岡田克也幹事長は記者団に、示された案では
実効性のある被害者救済にはつながらないとの見方を強調した。
政府案では、当事者が「困惑」した状態での寄付を取り消し対象としている。だが立憲は、信仰のあつい人の寄付などが
対象外になりかねないと懸念。会談では日本維新の会と連名で、マインドコントロール下で困惑せずに寄付した場合も対象
とするよう文書で求めた。
維新の藤田文武幹事長も「このままでは実体的に機能しない」として修正を求める考えを示した。
立憲と維新はこれまで、与党側との協議に臨み、救済範囲を拡大する必要性を訴えてきた。両党はすでに悪質な高額寄付の
禁止に向けた法案を提出しており、それとの整合性を求める。協議を経て双方の距離は縮まりつつあるとの認識だが、
なお、不備があるとの立場を崩していない。立憲と維新は、25日に始まる衆院予算委員会でも救済新法を取り上げ、政府
・与党にさらなる譲歩を迫る方針だ。ただ、野党内でも「(修正案は)十分合格点。だいぶ現実的な法案に近づいた」
(国民民主党の榛葉賀津也幹事長)との声もあり、どこまで歩み寄れるかは不透明な情勢だ。
(11月25日)
秋葉賢也復興相は25日の衆院予算委員会で、次男が昨秋の衆院選期間中に秋葉氏のたすきを掛け、仙台市内の街頭に
立ったことを認めた。
立憲民主党の大西健介氏は候補者以外のたすき使用を禁じた公職選挙法に違反する疑いがあると批判した。
大西氏はたすき姿の次男が写った写真を秋葉氏に示しながら、「影武者は一体何人いるのか」と質問。秋葉氏は「次男が
親の選挙を心配し、勤務先の東京から駆け付けてくれた。少しでも力になりたいと考えての行動だったようだが、指摘を
受けてすぐに外したと聞いている」と説明した。大西氏によると、たすきには小さく「次男」と書かれていたという。
(11月26日)
来年1月5日告示の山梨県知事選挙に向け、立候補を表明している元笛吹市長の倉嶋清次氏が立憲民主党県連などに推薦を
要請した。
26日は倉嶋氏や支持する団体の役員らが、甲府市内で立民県連の小沢雅仁代表に推薦要請書を手渡した。倉嶋氏は「市民
と野党の共闘をしっかりつくって知事選を戦いたい」とし、小沢代表は「長崎県政に任せるわけにはいかないという思いは
一致していると思う。しっかり検討したい」と述べた。
この後、倉嶋氏は社民党県連にも推薦を要請。社民党県連は近く対応を検討する。一方、立民県連は同日、拡大常任幹事会
を開き、知事選対応などを協議した。小沢代表は会合後、「何も決まらなかった。26日以降の情勢を注視したい」などと
述べた。知事選には、現職の長崎幸太郎氏と県議の志村直毅氏も立候補を表明していて、三つどもえの戦いとなる公算が
大きくなっている。
(11月27日)
立憲民主党の石川香織衆院議員が27日、自身のツイッターを更新し、一部で「夫に、合計141万円の事務所費を
支払っていた」と報じられたことについて説明した。 報道では、石川氏が代表を務める政党支部が、2018年から
21年にかけて、夫で元衆院議員の知裕氏が所有する事務所を借りて、家賃として計141万円を支払っていたとされて
いる。知裕氏が「道義的に問題があると指摘されているだけで法的には問題ない」とコメントした。
事務所の賃料については、自民党の寺田稔前総務相、同党の秋葉賢也復興相の団体が親族に支出していたことも明らかに
なっており、問題視されている。 石川氏は【事務所費の一部報道について】と題してコメントを掲載した。全文は以下の
通り。
○実態がある
党業務に従事している職員の占有面積相当分として30,000円をビル所有者である夫に支払っています
○賃借料は確定申告している
マスコミには回答済みですが、他議員の問題になっているケースとは全く異なり、法的に問題がない事を改めてお伝え
します。
(11月28日)
政府が旧統一教会などの被害者を救済するために成立を目指す新法の「条文案」について、立憲民主党の長妻政調会長は
修正が必要だとの認識を示した。
立憲民主党 長妻昭政調会長 「我々、かねてより“使える法律”ということを申し上げておりましたけれども、まだまだ
そうなってないということで、修正が必要だという認識を持っています」 政府が与党に示した条文案には、法人が寄付を
勧誘する際、「個人の自由な意思を抑圧し、判断が困難な状態に陥らないようにすること」が“配慮義務”として盛り込まれ
ているが、立憲民主党の長妻政調会長は「“配慮義務”には罰則がない」と指摘した。そのうえで、“配慮義務”に違反する
行為があった場合、献金を取り消せるよう修正すべきだと主張した。
救済法案をめぐっては、与野党の主張が大きく隔たったままですが、長妻氏は岸田総理が政治決断するべきだと訴えた。
(11月29日)
29日に行われた衆院本会議での令和4年度第2次補正予算案の採決で、野党は国民民主党が賛成し、立憲民主党と日本
維新の会、共産党、れいわ新選組などは反対した。国民民主は4年度当初予算と第1次補正予算に続く賛成で、政府・与党
への接近を改めて鮮明にした。
採決後、国民民主の玉木雄一郎代表は記者団に「参院選で(国民民主が)公約に掲げた電気代の値下げが取り込まれた。
国民負担を引き下げ、安心して年を越せるような予算として賛成した」と述べた。
一方、立民と維新は本会議に先立つ衆院予算委員会で、若者や子育て世代への支援を強化する内容の組み換え動議を共同
提出。否決されたが、今国会での「共闘」8項目の一環として共同歩調をとった。
これで全項目に着手したか、あるいは達成したことになり、立民の泉健太代表は「子育て支援の拡充や教育無償化を共に
訴えてきた。その意味では、より政策共闘は深まっている」と述べた。 維新の馬場伸幸代表も「国会が動いているのは
協調があったからだと判断いただいている方が増加している」と評価。ただ、次期通常国会での共闘継続については明言を
避けた。
(11月30日)
30日の参院予算委員会では杉田水脈総務政務官(自民党衆院議員)が、「日本に女性差別というものは存在しない」と
した2014年内閣委員会での自身の発言について、「命に関わるひどい女性差別は存在しないという趣旨だ」と説明した。
立憲民主党の塩村文夏氏の質問に答えた。他の野党議員からは「命にかかわるDV(家庭内暴力)だってある」と、杉田氏
の認識の甘さを批判する声が上がった。
杉田氏は16年の国連女性差別撤廃委員会出席時、「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全
に品格に問題があります」と自身のブログに投稿していたことも塩村氏に問題視された。杉田氏は当時、「目の前に敵が
いる!大量の左翼軍団」「同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」「国連を出る頃には身体に変調をきたすほど
でした」とも書き込んでいた。
杉田氏は「至近距離で罵声を浴びせられた。このような感想を持つのは仕方がなかった」などと釈明したが、塩村氏は杉田
氏のブログでの説明を根拠に「自分から近づいていったんじゃないですか」とたたみかけた。
杉田氏はまた、16年に産経新聞のニュースサイトに、保育所増設や夫婦別姓などを求める動きはコミンテルン(共産主義
政党の国際組織)が日本の家族を崩壊させようと仕掛けたものだとの趣旨の寄稿をしたことについて「事実として確認
できず、不用意な発言だった」と述べ、撤回する考えを示した。「女性はいくらでもうそをつけますから」との過去の発言
については「女性を蔑視する意図は全くなかった」と釈明した。
塩村氏は杉田氏の更迭を岸田文雄首相に求めたが、首相は「人事は適材適所だ。政府の一員になった以上、政府の方針に
沿って職責を果たしてもらう」と拒否した。杉田氏は過去、LGBTなどの性的少数者は「生産性がない」と主張したことも
ある。